人間関係を豊かにするためには『信頼口座』への預け入れが大切です。一人一人に対する『信頼残高』を高めなければなりません。
人間関係において応急措置は幻想にすぎないと書籍は教えてくれます。これまで相手に関心を持たず、相手の心を理解せず、ひどい仕打ちを続けていた相手に対し、ある日突然甘い言葉をかけてみたところで信用してくれるはずがありません。あなたのアドバイスなどに聞く耳を持つはずがないでしょう。例えあなたが困っていても助けてすらくれないかも知れません。
そう、あなたは相手にとって『残高不足』なのです。
では『信頼残高』はどのように高まるのでしょうか。書籍では次の6つを主な預け入れとして紹介しています。
①相手を理解する。
誰もが自分のことを理解してほしいと願っています。あなただってそうでしょう。
相手を理解しようとする姿勢は、預け入れの中でも最も重要な預け入れとなります。そもそも相手のことを理解できなければ、相手にとって何が預け入れになるのかも分からないはずです。
相手のためを思ってしたことが、それほど相手に喜ばれなかった経験はありませんか?あなたにとっては重要なことが、相手にとっては取るに足らないことで、あなたにとって些細なことが相手にとってはとても大切なこともあるのです。
相手があなたに「わかってもらえた」と感じたとき、その瞬間に預け入れが増えることになります。
②小さなことを気遣う
ちょっとした親切や気配りができる人は預け入れが増えます。逆にほんの少しの思いやりが足りなかったり、礼儀にかけたりするとたちまち引き出しとなります。
自分では何でもないことと思っていたことで、相手を深く傷つけることもあるのです。人の内面は脆く傷つきやすいということを常に忘れてはいけません。
③約束を守る
当たり前のことかも知れませんが、誰もが約束を守る人を信頼するはずです。当たり前すぎて一つ一つは大きな預け入れにはならないかも知れませんが、破った時には大きな引き出しとなります。
また、日々の小さな約束を長年守り続けることで、いざという時の大きな約束を信じてもらえることとなります。
④期待を明確にする
あなたは会社の上司として、部下にどのような指示をしているでしょうか?目標や期待値を明確にしているでしょうか?夫婦では?子どもには?
何を期待されているのかが曖昧なままでは、その後必ず誤解を生み、信頼を引き出すこととなります。
もしかして期待値を明確にすることによって露になる相手との意見の違いから目を背けるために、期待を曖昧にしていませんか?「そんなこと言わなくても分かるだろう」でお互い分かりあえていたことがどれほどあるでしょうか。
⑤誠実さを示す
嘘をつく人を信頼する人はいないはずです。誠実であることは人に信頼される基礎となります。
正直と誠実は似ている言葉ですが、正直は誠実の一部であると書籍は教えてくれます。正直とはありのままを語ることであり、言い換えれば現実に自分の言葉を合わせることです。ワシントンが桜の木を切ってしまったことを正直に告白したのと同じです。
一方誠実は自分の言葉に現実を合わせることです。それは例えば約束したことを守ること、相手の期待に応えることです。
更に最も大切なことは、その場にいない人に対して忠実になることであると書籍は述べます。その場にいない人の悪口を言いふらす人を誰が信頼してくれるでしょうか。だってその人は、他の人に私の悪口を同じように言っているかも知れないのですから。
⑥引き出してしまったときには心から謝る
信頼口座から引き出してしまったときは、心から謝らなければなりません。表面的な謝罪は必ず見透かされます。心から謝罪し、その後の態度が改まった時、それは相手への預け入れとなるのです。
また、間違いを犯すことよりも、その間違いを認めない方がよっぽど問題です。間違いは判断ミスであり、二度目が無ければ許してもらえます。しかし間違いをごまかして正当化する態度はその人の心が起こした間違いです。心の間違いは簡単には許してもらえません。
これらの預け入れをコツコツコツコツと続けるとき、豊かな人間関係の土台が出来上がっていくのです。